チキータとは
チキータは現代卓球では、王道の台上技術になっており、大まかに言うとバックフリックの分類に入ります。チキータは、チェコの代表選手ピーター・コルベルが編み出した打ち方です。
バックフリックと違って横回転をかけて打ち返すため、サーブなどの回転の影響を受けづらいため、特にレシーブでよく使われている技術になります。
ちなみに名前になっている「チキータ」の由来は、打つ時に思いっきり横回転をかけて、バナナの形のようなカーブを描くことから、有名なバナナブランド「チキータバナナ」の名前からチキータとついたそうです。
チキータはいつから流行っている?
チキータはコルベルが編み出した打ち方ということは説明しましたが、実は1990年代に既に編み出していたそうです。意外とかなり昔からあった技術だそうです。
しかしその頃から流行っていたわけではないようです。流行りだしたのは、チキータの攻撃力に可能性を感じた中国が、チキータを改良し多用しだしてからみたいですね。
正確には、中国の「張継科」選手がチキータを使い、2011年の世界卓球で初出場にもかかわらず優勝したことがきっかけで、チキータが認知され広まったようです。
チキータとバックフリックの違い
チキータはバックフリックの分類に入ると説明しましたが、ここでチキータとバックフリックの違いを簡単に説明しておきます。
簡単に説明すると、両方とも台上でバック面で回転をかける技術ですが、ボールの擦る位置が違います。バックフリックは、向かってボールの正面を斜め上に擦って上回転をかけるんですが、チキータは手首を思いっきり使ってボールの側面(左側)を擦るようにして横回転をかけるように打ちます。
このようにチキータとバックフリックは、打ち方も違えば回転も変わり、卓球の技術の中でも高度な技術になります。
チキータの打ち方
では、チキータの打ち方の流れを見ていきましょう。
- ボールがバウンドする位置に右足を出す
- 右肘を出して懐に空間を作り、手首を内側に捻りながら右腰の辺りにラケットを引く
- 頂点か落ちはじめの位置を、肘を支点にしてボールの横を擦って打つ
以上が、チキータの打ち方の流れになります。特にボールの横を擦るのが難しいので、しっかり意識して練習していきましょう。
チキータを安定させるための5つのコツとは?
ここからは、チキータを安定させるためのコツを見ていきます。以下のことを意識するだけでも、一気にミスが少なくなり卓球の試合でも使える可能性が出てくると思うので、しっかり理解していきましょう。
1.右足をボールのバウンド位置に出す
1つ目コツですが、ボールがバウンドする位置めがけて卓球台に向かって右足を出すようにしましょう。これはツッツキと同じことですが、なるべく右足をしっかり出すことによって、体勢が崩れることなく綺麗な体勢でチキータを打つことができるようになります。
卓球台に向かって右足がしっかり出ていないと、手だけで打ちに行くことになってしまったり、チキータの場合はボールの側面を捉えることができず横回転をかけることができないようになってしまうので、なるべく右足を出すようにしましょう。
2.肘を前に出す
2つ目のコツですが、チキータを打つ準備をする時は肘を前に出すようにしましょう。肘をしっかり前に出して懐に空間を作り、その空間にラケットを引くことにより上手くためを作ってチキータを打つことができます。
肘が前に出ていないと、ラケットをしっかり引くことができずタメが作りづらくなりますし、ボールの側面も捉えづらくなります。なるべくしっかり肘を前に出すように意識しましょう。イメージはバックスイング時、ラケットが肘よりも体側にあるといいでしょう。
3.ボールの横を擦る
3つ目のコツは、ボールの横を擦ることです。ボールの横を擦ることによって、回転の影響を受けづらくなりしっかりとしたチキータを打つことができます。
上手く横を擦れないと、回転に負けてしまいネットミスが増えやすいので、なるべくしっかりバックスイングをとりボールの横側を捉えられるようにしましょう。
4.打点を意識する
4つ目のコツは打点です。チキータを打つ時の打点は頂点か落ちはじめのところを狙うようにしましょう。頂点か落ちはじめのところまでしっかり引き付けることによって、ボールを上手く捉えることができます。
チキータを打つ時に、早い打点になってしまうとボールをうまく引き付けることができませんし、ネットよりも低い位置で打ってしまうことになるので、ネットミスが増えてしまいます。チキータはなるべく引き付けて、頂点か落ちはじめを狙うようにしましょう。
5.手首をしっかり使う
5つ目のコツですが、チキータを打つ際は手首のスナップを効かせるようにして打ちましょう。バックスイング時に手首を捻り、打つ瞬間に戻すようにして手首を使うことで、より横回転をかけやすくなります。回転量やスピードをあげることができるので、しっかり手首を使って打ちましょう。
手首を使わないと、上手く回転がかけられなかったり、引っかかりが甘くなって上手く飛ばせない場合があるので、手首はしっかり意識しましょう。
チキータの練習方法
チキータについて、いろいろ分かったところで今度は練習方法を見ていきましょう。多球練習とラリー練習それぞれ紹介します。チキータは難しい技術ですので、慣れるまでは多球練習することをオススメします。
多球練習
ミドル前に下回転ボールを出してもらう
まずは、多球練習でミドル前に下回転ボールを出してもらい、チキータの練習をします。特にミドル前のボールはチキータを打ちやすいので、ミドル前のコースから練習します。
最初から足の動きも入れて練習すると難しいので、慣れるまでは足を出した状態からスイングだけで打つ練習をしましょう。慣れてきたらボールに合わせて足を出しながら、チキータの練習をします。
フォームを体に染み込ませるために、上記のコツは必ず意識しながら練習をしましょう。
バック前からミドル前に下回転ボールを出してもらう
ミドルのワンコースでチキータを打つことに慣れてきたら、バック前とミドル前ランダムに球出ししてもらいましょう。ワンコースでできるようになっても、コースがランダムになるとチキータは格段に難しくなってきます。
オール前に対してチキータは非常に難しいので、バック前とミドル前だけでもチキータできるように練習していきましょう。
バック前からミドル前に下回転ボールを出してもらい、2本目にバックに上回転ボールを出してもらう
チキータを打つことに慣れてきたら、今度はチキータを打った後、返ってきたボールに対しても打てるように練習していきます。
まず同じようにバック前やミドル前に下回転ボールを出してもらい、チキータします。2本目にバック側へ上回転ボールを出してもらい、バックドライブを打ちましょう。
チキータは横回転が混ざっている技術なので、相手が打ち返すとバック側に返ってきやすいです。チキータした後、そこをバックドライブで狙う練習になります。
ラリー練習
ミドル前に下回転サーブを出してもらう
多球練習でチキータを打つことに慣れてきたら、ラリーでも練習していきます。まずは、多球練習と同じ感じでミドルのワンコースに下回転サーブを出してもらい、チキータを打つ練習をします。
そこからラリーもしていくので、チキータを打った後は、戻りを素早くしてバックドライブを打つ体勢に入れるように意識しましょう。
下回転サーブを出し、バック前にストップしてもらう
今度は、下回転サーブを出し、バック前にストップしてもらったボールに対して、3球目チキータの練習をします。レシーブからでもサーブからでも、チキータを打てるようにしていきましょう。
サーブを出した後素早く構えて、素早く右足を出すことでスムーズにチキータを打つことができます。
ミドル前に下回転orバックへロングサーブを出してもらう
最後にまたレシーブからの練習です。ここまででチキータを打つことに慣れてきたと思いますが、実際は必ず短いサーブが来るとは限りません。
ですので、ミドル前に下回転orバックへロングサーブを出してもらい、判断練習もしていきましょう。ミドル前に下回転サーブが来たらチキータ、バックロングへサーブが来たらバックドライブを打ちます。
このような判断練習の中でチキータを打てるようにすることで、試合でもチキータが使えるようになります。
チキータをミスしないために意識すること
チキータをミスしないために意識することは、素早く準備することです。いくら練習でチキータが上手くなっても、いざ試合で使うときに、準備が遅いと必ずミスします。
チキータはしっかり右足を出してタメを作らないと安定しないので、相手が打ったボールのコースを素早く判断することが大事ですが、ある程度山を張っておくことも大事です。
チキータを打つ時は、素早くコースを判断することを意識しながら、ある程度山も張っておきましょう。
チキータを使った卓球の戦術
チキータのコツや練習方法がわかったところで、実際に試合で使うための戦術を見ていきましょう。
レシーブでチキータ
まずは、レシーブからチキータです。プロの卓球選手でも、基本的にチキータを使っている場面はレシーブになります。相手のサーブに強烈な下回転がかかっていてフリックができなくても、横回転をかけるチキータなら打てるため、チキータがレシーブで多用されています。
短いサーブであれば、どんなサーブでもチキータを打つことができるので、短いサーブが来たらどんどんチキータを打つようにしましょう。
ストップさせてチキータ
2つ目は相手にストップさせてチキータです。サーブからでもレシーブからでも、攻撃できそうになければ低くストップして相手にもストップさせます。ストップさせたところをチキータしていきます。
もし、ストップではなくツッツキが来た場合は、ドライブで攻撃してOKです。
チキータの打ち返し方
では逆に、短いサーブなどを相手にチキータされた場合ですが、どのように打ち返せばいいでしょうか?
相手にチキータされた場合は、なるべくドライブで打ち返すようにしましょう。ブロックなどで守りに入ると、相手の思うつぼになってしまいます。
またドライブを打つ時は、チキータなのでボールが横回転で曲がってくることを意識して打つようにします。狙うコースもバックを狙いすぎると、回転の影響でバックサイドに逸れてしまうので、バックを狙うときはミドル気味を狙うようにしましょう。
相手にチキータを打たせないためには?
チキータの打ち返し方はわかりましたが、そもそも相手にチキータを打たせないようにするためにはどうしたらいいでしょうか?
ロングサーブを出す
チキータは短いボールに対して打つ技術です。ですので試合でやたらチキータしてきて上手い選手と当たった場合は、いつもより少しロングサーブを多めに出すようにします。
そうすることで、ロングサーブに対してはチキータはできないですし、ロングサーブを警戒して短いサーブを出しても、チキータを打ちづらくなります。
フォアサイドに曲がるようなサーブを出す
もう1つのチキータを打たせない方法ですが、バックサーブや巻き込みサーブなどの逆横回転のサーブを、相手のフォアサイドに曲がるようにサーブを出しましょう。
チキータはフォア前、ミドル前、バック前など基本的に短いサーブであれば、どこでも打てます。ただし、フォアサイドに切れていくような短いサーブに対しては、チキータは難しくなります。
ですのでチキータを打たれるのが嫌な場合は、フォアサイドに曲がるサーブを多用していきましょう。
チキータを打った後、返ってきたボールに対してどう対応する?
チキータを打てるようになったところで、打ち返されたボールに対してはどのように対応するのでしょうか?
ブロックで打ち返された場合
まずチキータは、台上バックドライブの要素もあるので威力があり、ブロックで返ってくる場合もあります。ブロックで返ってきた場合は、ドライブで打ち返すようにしましょう。
ただ、ブロックで返ってきた場合は、チキータの横回転が残っている可能性があり、曲がってくることもあるのでボールをよく見て対応するようにしましょう。
ドライブで打ち返された場合
上手い卓球選手だと、チキータに対してはドライブで打ち返してくることもあります。この場合もなるべく攻め切りたいので、中陣に下がってドライブで打ち返し、引き合いにもっていきたいです。
ただ、そこまで技術がない場合は、ドライブで打たれた時は無理に攻撃せず、ブロックでも構いません。
チキータが打ちやすいラバーとラケット
チキータを習得したい方向けに、チキータが打ちやすい用具を紹介します。
チキータが打ちやすいラバー
まずはチキータが打ちやすいラバーです。
- テナジー80(メーカー:BUTTERFLY、定価:オープン価格)
- V11Extra(メーカー:VICTAS、定価:5,200円(税抜))
- ロゼナ(メーカー:BUTTERFLY、定価:5,000円(税抜))
チキータが打ちやすいラケット
続いてチキータが打ちやすいラケットです。
- インナーフォース レイヤー ZLC(メーカー:BUTTERFLY、定価:21,500円(税抜))
- アコースティックカーボンインナー(メーカー:Nittaku、定価:20,000円(税抜))
- Liam Pitchford(メーカー:VICTAS、定価:20,000円(税抜))
参考動画
最後にチキータの参考動画を載せておきます。チキータは簡単にできる技術ではありませんが、この動画を参考に、しっかり練習して卓球の戦術の幅を広げましょう。
まとめ
順序的にはバックフリックを先に習っていると思うので、チキータは卓球をする上で必須の技術ではありません。しかし卓球のトップ選手を見ているとみんなチキータを打っているので、ついついやりたくなると思います。
ちゃんと上達したい方は、上記のコツを理解して練習に励むことで、上達が早くなると思うのでしっかり理解していきましょう。
ただし、チキータという技術は多球練習や、パターン練習でできるようになっても、卓球の試合で使えるようになっているとは限りません。多球練習やパターン練習も大事ですが、オール練習の中でもチキータを使って練習することで卓球の試合でも使えるようになるので、そのつもりで練習に励みましょう。
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