フォアドライブとは
フォアドライブは、卓球の試合で最も多く使われる攻撃の技術です。また卓球のフォアドライブには、上回転に対してのフォアドライブと下回転に対してのフォアドライブの2種類ありますが、今回は下回転に対してのフォアドライブのコツを紹介していきたいと思います。
下回転に対してのフォアドライブは、下回転サーブやツッツキなどの下回転のボールが来たときに、上回転にして打ち返す技術です。フォアハンドやバックハンドは「上回転→上回転」、フォアツッツキやバックツッツキは「下回転→下回転」ですが、下回転に対してのフォアドライブは「下回転→上回転」と回転を変える技術だということは覚えておきましょう。
では、下回転に対してのフォアドライブの打ち方の流れから見ていきましょう。
下回転に対してのフォアドライブの打ち方
卓球ではフォア側に長い下回転サーブやツッツキが来たときに、フォアドライブを打つのですが腕はもちろん、足腰など体全体を使って打つ技術です。下回転に対してのフォアドライブを覚えないと、卓球の試合で下回転が来たとき延々とツッツキをするしかなくなって試合で勝てないので、打ち方をしっかり覚えていきましょう。
- 膝を80度くらいになるまで曲げる
- 左肩が台の方へ向くまで腰を右に回す
- ラケットの角度を80度くらいにして右ひざの後ろあたりにもっていく
※1から3を同時におこなう - 下回転のボールが飛んできて頂点か少し落ちるくらいのところで、膝を伸ばして腰を戻しながらラケットをおでこまでもっていくようにして打つ
以上が下回転に対してのフォアドライブの流れになります。慣れるまでフォアドライブは難しいと思います。ただ、次から紹介するコツさえつかめば、ミスなく安定して卓球の試合でも使えるようになると思うのでしっかり見ていきましょう。
下回転に対してのフォアドライブを安定させるための5つのコツとは?
では、ここからは下回転に対してのフォアドライブのコツを見ていきましょう。
1.膝と腰をしっかり使う
1つ目のコツですが、下回転に対してのフォアドライブを打つときは、膝と腰をしっかり使うようにしましょう。膝や腰を使わずに手だけでボールを打ってしまうと、下回転の回転量に負けてネットミスしてしまいます。
膝はスクワットをするようなイメージで膝の角度が80度くらいになるまで曲げます。膝を曲げると同時に、腰は左肩が台の方に向くまで右に回します。
そしてボールを打つ瞬間に、一気に曲げた膝を伸ばすと同時に回した腰を戻すようにして打球します。この時、膝を伸ばすのですが、伸ばしすぎると体が上に伸びてしまいオーバーミスが増えるので、構えの時点の膝の角度に戻すように膝を伸ばすことを意識しましょう。
2.ラケットを下から上にスイングする
2つ目のコツですが、ラケットは下から上にスイングするようにしましょう。下回転サーブやツッツキは当然下回転です。下回転ボールを打つときに、上回転ボールを打つようにラケットを横から前にスイングしてしまうと、回転に負けてネットミスしてしまいます。
ですので、下回転のボールをフォアドライブで打ち返す時は、ラケットを右ひざの後ろくらいまで引いて、そこからおでこまで振り抜いて打つようにしましょう。
3.まずはとにかくボールを薄くとらえて擦る感覚を身につける
3つ目のコツは、ボールを薄くとらえて擦る感覚を身につけることです。これが難しいかもしれません。卓球ではボールに対して薄くとらえるや分厚くとらえるという表現がありますが、この感覚的表現が初級者にとっては難しいと思います。この違いは、また別の記事で詳しく説明させていただきます。
話を戻しますが、下回転に対して分厚く当ててしまうと、やはり回転に負けてネットミスしてしまいます。ですので、なるべくボールの表面を薄くとらえ、下から上に擦りあげて上回転をかけてあげる必要があります。そうすることで卓球台のネットを超えて相手コートに入ってくれます。意識することは打球時に思いっきり擦って打球音をさせないことです。
4.打つ前と打った後で体重移動をする
4つ目のコツは、体重移動することです。バックスイングをとった時は右足に体重を乗せて、打つ瞬間に左足に体重を乗せ換えながらフォアドライブを打つようにしましょう。そうすることで、回転量の多いツッツキもしっかりフォアドライブできるようになります。
体がしっかり使えていても、体重移動しないと回転量の多いツッツキなどを上手く飛ばせなかったりします。なるべく体重移動は忘れないようにしましょう。また、右足に体重を乗せた時にしっかりとタメを作るようにもしましょう。タメがなく打ってしまうとボールが安定しません。なるべくフォアドライブの準備を早くして、タメてから打つのもコツなので忘れないようにしましょう。
5.ボールがラケットに当たる瞬間、力を入れて振り抜く
5つの目のコツですが、フォアドライブのバックスイングをとった時は力を抜いておいて、打つ瞬間の打球時に力を入れてスイングすることです。打つ瞬間に力を入れて打つことで、しっかりボールに力が伝わり安定して威力のあるフォアドライブを打つことができます。
バックスイングをとった時点で力が入っているとうまく擦れず当ててしまってミスしますし、ずっと力を入れずスイングするとボールに力が伝わらずうまく飛んでくれません。なるべく打つ瞬間に力を入れるようにしましょう。
下回転に対してのフォアドライブの練習方法
では、ここからは下回転に対してのフォアドライブの練習方法を、多球練習とラリー練習に分けて紹介していきます。ドライブは感覚が掴みにくい技術ですので、まずはしっかりと多球練習をして感覚を養っていきましょう。
多球練習
フォア側に下回転ボールを1本ずつ長く球出ししてもらう
まずは多球練習で、フォア側に下回転ボールを1本ずつ長く出してもらい、それに対してフォアドライブを打っていきます。1本ずつボールの表面を薄く擦るように意識して練習しましょう。
フォアドライブが徐々に安定してきたら、フォア側半面ランダムに球出ししてもらい、足の動きを入れた練習にしていきましょう。そうすることで、より実践的な練習になります。
1本目はバック前に下回転ボールを出してもらい、2本目にフォア側に長く下回転ボールを出してもらう
もう1つの多球練習は、まずバック前に下回転ボールを出してもらい、バック側にツッツキをします。その後に、フォア側に長く下回転ボールを出してもらい、フォアドライブを打ちます。
これはバックツッツキをした後に、フォアドライブする練習になります。ただフォアドライブを打つ練習をするのではなく、このようにフォアドライブの前に違う動きを入れることで、質の高い練習になります。
ラリー練習
下回転サーブを出し、フォア側にツッツキしてもらい、フォアドライブする
多球練習で下回転に対してのフォアドライブを打つことに慣れてきたら、今度はラリー練習です。まず下回転サーブをバック前に出します。相手にフォア側へツッツキしてもらい、フォアドライブを打ちましょう。
サーブを出してからの流れでフォアドライブを練習することで、3球目ドライブの流れを覚えることができ、試合でもドライブが使えるようになります。
相手にバック側へ下回転サーブを出してもらいバックにツッツキし、フォア側にツッツキしてもらいフォアドライブする
サーブを出してからのフォアドライブに慣れてきたら、相手のサーブからも練習をしましょう。相手にバック側へ下回転サーブを出してもらい、バック側にツッツキします。相手にフォア側へツッツキしてもらい、フォアドライブを打ちましょう。
今度は相手にサーブを出してもらってからの展開でフォアドライブの練習をすることで、4球目ドライブの練習をします。サーブからとレシーブから、両方の練習をすることで、なるべく自分からドライブを打ち、攻撃することができるようになります。
下回転に対してのフォアドライブをミスしないために意識すること
下回転に対してのフォアドライブをミスしないために意識することは、何でもかんでも強く打ちにいくのではなく、なるべく回転をかけて飛ばすように意識しましょう。
回転を強くかけることでボールの弾道が弧を描くようになり、ネットミスやオーバーミスといったミスが少なくなります。回転をかけず強く当てて打ちに行くと、逆にボールは一直線に飛び、ミスが増えるので注意しましょう。
下回転に対してのフォアドライブを打つための3球目、4球目攻撃の戦術
下回転に対してのフォアドライブの3球目攻撃や4球目攻撃の戦術は、どのようなどのようなものがあるのでしょうか?それぞれ紹介していきます。
3球目で下回転に対してのフォアドライブを打つためには?
まず3球目でフォアドライブを打つためには、下回転系のサーブをフォア前やバック前に出します。相手はツッツキを打つしかなくなるので、ツッツキをしてきたらフォアドライブを打ちましょう。
この時、上手い相手だとツッツキではなくストップをしてくる可能性もあるので注意しましょう。もしストップをされたら、同じようにストップをするかフリックして攻撃をしましょう。
4球目で下回転に対してのフォアドライブを打つためには?
続いて4球目でフォアドライブを打つためには、相手の下回転系のサーブに対して短くストップしましょう。そうすると相手がツッツキをしてくる可能性が出てくるので、ツッツキをしてきたらフォアドライブを打ちましょう。
ストップに対してさらにストップをされたら、再度ストップをしてフォアドライブの機会を作るか、フリックで攻撃をしましょう。
下回転に対してのフォアドライブの打ち返し方
ここまでは、下回転に対してのフォアドライブの打ち方や練習方法を紹介してきましたが、逆に相手に打たれた時はどのように返したらいいでしょうか?
相手にフォアドライブを打たれた時は、基本的にはブロックで打ち返すようにしましょう。ただただブロックするのではなく、相手を見て隙のあるコースを狙うことで得点に繋がります。
また、相手のフォアドライブが山なりで回転も弱そうであれば、カウンターを狙うこともできます。ただし、しっかりと回転を見極めないとミスが増えるので注意です。
下回転に対してのフォアドライブを打った後、返ってきたボールに対してどう対応する?
下回転に対してのフォアドライブを打って得点になればいいですが、上手な試合相手だと簡単に打ち返してくることもあります。フォアドライブを打った後、返ってきたボールに対してはどう対応すればいいでしょうか?
フォアドライブを打った後の対応方法を簡単に説明していきます。
ブロックで打ち返された場合
まずフォアドライブを打つと、だいたいがブロックで返ってくると思います。基本的にはブロックで返ってくると思って、フォアドライブを打った後は、しっかり戻りを速くしましょう。
戻りを速くしてブロックのコースを見極めて、今度は上回転に対してのフォアドライブを打つようにしましょう。この時、下回転に対してのフォアドライブとは違うので、バックスイングの位置は下ではなく後ろに引くように意識してください。
カウンターで打ち返された場合
フォアドライブが甘いと、カウンターをされる場合もあります。もしカウンターをされた時は、すかさず卓球台から離れてロビングを打つ体勢に入りましょう。
カウンターをされると、なかなかこちらから攻撃はしづらいのでこのようにロビングをします。もし余裕があれば、ロビングではなく少し下がった位置から引き合いにもっていっても大丈夫です。
下回転に対してのフォアドライブが打ちやすいラバーとラケット
下回転に対してのフォアドライブが苦手な方や悩んでいる方の為に、フォアドライブが打ちやすいラバーやラケットを紹介します。
下回転に対してのフォアドライブが打ちやすいラバー
ラバーに関しては、スイングスピードが速い人と遅い人で打ちやすいラバーが変わってくるので、スイングスピードが速い人向けと遅い人向けに分けて紹介します。
スイングスピードが速い人には硬いラバーをオススメし、遅い人には柔らかいラバーをオススメします。理由はスイングスピードが速いと硬いラバーでもしっかりボールを食い込ませて飛ばせますが、遅い人だと柔らかいラバーでないとしっかりと食い込ませて飛ばせないからです。
しっかり食い込ませて飛ばさないとミスが増えてしまうため、スイングスピードが速い人は硬いラバー、遅い人は柔らかいラバーとしています。
スイングスピードが速い人向けのスポンジが硬いラバー
- V15エキストラ(メーカー:VICTAS、定価:6,000円(税抜))
- ファスタークG1(メーカー:Nittaku、定価:6,000円(税抜))
- テナジー05ハード(メーカー:BUTTERFLY、定価:オープン価格)
スイングスピードが遅い人向けのスポンジが柔らかいラバー
- V15リンバー(メーカー:VICTAS、定価:6,000円(税抜))
- ラクザ7ソフト(メーカー:YASAKA、定価:5,000円(税抜))
- テナジー05(メーカー:BUTTERFLY、定価:オープン価格)
下回転に対してのフォアドライブが打ちやすいラケット
続いて下回転に対してのフォアドライブが打ちやすいラケットを紹介します。ラケットはラバーほどスイングスピードは気にせず選べます。
- KOKI NIWA WOOD(メーカー:VICTAS、定価:15,000円(税抜))
- スワットパワー(メーカー:TSP、定価:10,000円(税抜))
- インナーフォース レイヤー ZLC(メーカー:BUTTERFLY、定価:21,500円(税抜))
参考動画
参考になるフォアドライブの動画を載せておきました。上手い選手のフォームはやはりきれいなので、動画を見て勉強してみてください。
まとめ
下回転に対してのフォアドライブは卓球の試合では必須技術です。フォアドライブが打てないと、下回転のサーブやツッツキが来たときに、同じようにツッツキしかできずに攻撃ができなくなります。攻撃ができないままだと、絶対に卓球の試合で勝てなくなります。
しかし、簡単に習得できる技術でもありません。ですので、この記事のコツをしっかり意識して練習して少しでも早く上達できるように頑張りましょう。根気よく練習をすることで技術が身につくので、あきらめないことが大事です。
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